飛車を、どちら側で働かせるか

盤の縦の列を「筋」、横の列を「段」と呼びます。先手から見て右から1〜9筋、上から一〜九段と数えます。たとえば2八は、右から二列目・上から八段目のマスです。

居飛車(いびしゃ)は、飛車を主に自分から見て右側で使う指し方です。先手の飛車は最初、2八にいます。その前の歩を進め、2筋で働かせる形が代表的です。

振り飛車(ふりびしゃ)は、飛車を中央や左側へ移して使う指し方です。先手なら5筋に置く中飛車、6筋の四間飛車、7筋の三間飛車、8筋の向かい飛車などがあります。四間飛車の「四」は、指す側から見て左から四つ目の筋、という意味です。

居飛車:飛車を右側で使う

先手の飛車は2八。2筋を主な働き場所とするイメージです。2七の歩がいるので、今すぐ飛車で前へ進めるわけではありません。

四間飛車:飛車を左へ移す

先手の飛車は6八。矢印は元の2八からの移動を表します。二つの図は位置の比較で、対局の連続手順ではありません。

二つの図は、先手の飛車の位置が分かるように他の駒を省いたものです。実戦の駒組みを示す連続手順ではありません。

左右は、指している本人から見た方向です。後手の居飛車は8筋、後手の四間飛車は4筋が基本の位置になります。

なお、居飛車の飛車がずっと動かないわけではありません。自分から見て右側の、先手なら4筋、後手なら6筋に飛車を移す「右四間飛車」も居飛車の仲間です。「横に動いた飛車はすべて振り飛車」と覚えると、ここで混乱してしまいます。

参照:[1]

相手の飛車を見ると、学ぶページが決まる

自分が居飛車を選んでも、相手まで居飛車を選ぶとは限りません。逆に、自分が四間飛車にしたからといって、相手がいつも同じ攻め方をしてくれるわけでもありません。

お互いが居飛車なら「相居飛車」、居飛車と振り飛車なら「対抗形」、お互いが振り飛車なら「相振り飛車」と呼びます。自分と相手の組み合わせによって、戦う場所や玉の囲い方が変わります。

教材を選ぶときは、戦法名に加えて相手の構えを見てください。「四間飛車の基本・対急戦」と「相振り飛車」は、同じ振り飛車でも別の場面を学ぶページです。ここを区別すると、覚えた形が実戦と噛み合わない理由を探しやすくなります。

参照:[6]

居飛車の入口は、飛車と銀を一緒に使う棒銀

「どこを攻めるかが分かる戦法を試したい」。そんなときの候補が棒銀(ぼうぎん)です。飛車の前へ銀を進め、飛車だけでは突破しにくい場所に銀の力を足していきます。

棒銀で見たいのは、銀の移動先だけではありません。歩を交換することで何が変わるのか、飛車と銀が同じ場所に働いているか、銀を交換したあとはどう攻めを続けるか。駒を協力させるという将棋の基本を、一つの攻めの中で学べます。

もちろん、銀を一直線に進めれば必ず成功するわけではありません。相手も銀や角で受け、こちらの玉を攻めることがあります。銀が追い返されたときには、支える駒が足りなかったのか、仕掛けるタイミングが早かったのかを見直します。

棒銀は相掛かり、角換わり、対振り飛車など複数の戦型に現れますが、同じ手順をそのまま使い回せるわけではありません。まずは一つの戦型の教材で、相手の受け方まで含めて確かめるのがおすすめです。

参照:[4][3]

振り飛車の入口は、攻めと守りの配置が見える四間飛車

「まずは自分の陣形を整える感覚をつかみたい」。その入口として、相手が居飛車のときの、角道を止める四間飛車を試してみる方法があります。

先手なら6筋へ飛車を振り、玉は右側へ移動して美濃囲いを目指します。飛車を使う側と玉を守る側が分かれるため、盤面のどちらで何を準備しているのかを捉えやすい形です。

ただし、囲いを完成させたところがゴールではありません。相手が早く攻めてくるなら、銀や角で攻められる筋に備えます。相手もじっくり囲うなら、こちらも駒を活用し、仕掛けの機会を考えます。受けたあとに飛車や角をどう働かせるかまで学んでいきましょう。

四間飛車には、早く角を交換する指し方もあります。ここで紹介する角道を止める形とは、駒組みの注意点が異なります。最初は基本の形を一つ選び、その形で迷ったところを教材で確かめると、学ぶ範囲を絞れます。

参照:[2][1]

戦法と囲いは、相手に合わせて組み合わせる

戦法は攻めや駒の配置を含む作戦で、囲いは玉を守る陣形です。飛車が戦う場所から玉を離すのが基本の考え方ですが、どの囲いが合うかは相手の攻めによって変わります。

居飛車なら必ず矢倉、振り飛車なら必ず美濃、という対応ではありません。居飛車で振り飛車と戦うときには舟囲いや穴熊などが使われますし、相振り飛車では金無双や右矢倉なども候補になります。玉の居場所だけで戦法を判定することもできません。

まずは、選んだ教材がどの相手を想定しているかを確認し、その攻めと囲いを一組として学びましょう。囲いの名前を増やすことより、「この相手には、どちらから攻められそうか」と考えることが、形を選ぶ手がかりになります。

参照:[1][7][8][9]

選ぶ基準は、次の一局で確かめたいこと

居飛車は攻める人向き、振り飛車は守る人向き、と性格だけで決める必要はありません。居飛車にもじっくり囲う指し方があり、振り飛車にも自分から攻める指し方があります。今、盤上で試してみたいことから選んでみてください。

  • 飛車と銀を協力させて攻める感覚をつかみたいなら、棒銀を一つ。
  • 飛車の配置と玉の囲いを一緒に覚えたいなら、対居飛車の四間飛車を一つ。

教材を読んだら、実際に指してみましょう。相手が違う手を指した場所や、駒の使い方が分からなくなった場所を一つ覚えておき、終わったあとに戻って確認します。負けた一局でも、攻める場所が分かった、玉を囲えた、相手の狙いに気づいた、という発見は持ち帰れます。

何局か試して、「この形の続きを知りたい」と思えたら、その戦法をもう少し学ぶ理由になります。途中で別の戦法に興味が移っても構いません。駒の協力や玉の安全を考えた経験は、次の戦法でも使えます。

参照:[5]