格言
格言を知るだけでなく、どんな場面で役立つかを盤面で確かめましょう。15の格言を、取り返しや逃げた後まで進められる短い例で紹介します。
すべて9×9の学習用参考図です。記載した駒・持ち駒の条件で、各手順の効果を比べます。矢印は初めの図では狙いや利き、進めた図では直前の移動を示します。全局面で同じ手が成立するという意味ではありません。
駒組み・守り
玉の守りは金銀三枚
後手番。横から来た飛車に対して、金同士の支えを確認。
金銀を三枚、玉の近くでつなげて守るのが基本です。図では5八金を4九金が支え、その4九金と3八銀も互いに支え合っています。後手が飛車で5八金を取ると、もう一枚の金で取り返せます。
金で取り返す
△5八飛成 → ▲同金
先手は金一枚と引き換えに飛車を得ました。守り駒がつながっていると、相手は金を取るだけでは突破できません。
三枚をただ近くに置くだけでなく、取られた駒を取り返せる関係が大切です。図の△5八飛成は、その支えを見落とした例です。
駒組み・攻め
攻めは飛角銀桂
先手番。2三へ桂を跳ね、銀、飛車と続く攻め。
飛車・角の長い利きに、銀と桂を加えて攻めます。図では2三を桂・銀・角が狙い、飛車が2四銀を後ろから支えています。相手が順に取り返す一例を、飛車が成るところまで並べます。
桂・銀・飛車で続く
▲2三桂成 → △同金 → ▲同銀成 → △同銀 → ▲同飛成
この応手の順では、先手は桂を失う代わりに金と歩を得て、角に支えられた龍も作れます。駒が順番につながる攻めの例です。
最後に2三へ成った飛車も5六角に支えられています。四種類をそろえることより、先に動く駒の後ろへ次の駒が続けるかが大切です。
持ち駒・歩の使い方
歩のない将棋は負け将棋
先手番。9九玉への王手。8八は後手の銀が押さえています。
図の9九玉は横から飛車の王手を受け、8八は後手の銀が押さえています。持ち駒がなければ、逃げる・取る・合駒する、のどれもできず詰みです。歩が一枚あれば、▲8九歩打で飛車の利きを止められます。
歩が一枚あれば
▲8九歩打 → △同飛成 → ▲同玉
歩を合駒に使えば、この王手は詰みになりません。図の取り方なら玉で飛車を取り返せます。
歩がないと
持ち駒がなく合駒できません。8九は飛車の利き、8八は銀の利き、9八は自分の香で塞がり、9九玉は詰みです。
小さな歩一枚が、負けを防ぐ受けの手になる例です。△同飛成と取られても▲同玉と飛車を取れます。歩を持たないだけで常に負け、という意味ではありません。
受け・駒の支え
金底の歩、岩より堅し
後手番。金を取った飛車を、底歩で取り返せるか。
金の真下に歩があれば、金を取る大駒を歩で取り返せます。図では5八金が2八飛に狙われていますが、△同飛成の王手にも▲同歩で受けられます。
底歩がある
△5八飛成 → ▲同歩
先手は金と引き換えに飛車を得ます。5九の一歩が、金を取られても崩れない支えになっています。
底歩がない
△5八飛成 → ▲7九玉
取り返す歩がないため、この順では金を失って龍を残します。底歩がある図との違いです。
歩がない図では、5八の龍が2五角に守られ、玉では取り返せません。支えの歩があるかどうかで、同じ金取りへの対応が変わります。
攻め・角の弱点
角の頭は丸い
先手番。4五に歩を打ち、4四角を狙います。矢印は歩の狙いと、金の支えです。
角は斜めに遠くまで利きますが、真上や真下の駒は取れません。図では▲4五歩打と打つと、次に4四の角を取る狙いになります。4四角自身では、この歩を取れません。
角取りを受けないと
▲4五歩打 → △1二玉 → ▲4四歩
角取りを放置したこの手順では、先手は歩を一枚使って角を得ます。角自身が頭の歩を取れないことを利用した攻めです。
角を引いて受ける
▲4五歩打 → △3三角 → ▲4四歩
後手が角を逃がせば、すぐに角を取れるわけではありません。この進行では4四に金で支えた歩が残り、角の動きを制限します。
歩で角を追うときも、打つ歩を相手の金銀や飛車に取られないかを確認します。図では5五金が歩を支えています。馬は縦横にも一マス動けるので、同じ攻め方はできません。
受け・香の長い利き
下段の香に力あり
先手番。5九香で5七金を下から支えます。矢印は香の利きと、後手飛車の狙いです。
香は前方へ長く利くので、自陣の低い位置から味方の駒を支えられます。図の▲5九香打は、2七飛に狙われた5七金の後ろに香を置く受けです。
下から支えて取り返す
▲5九香打 → △5七飛成 → ▲同香
後手が金を取るこの手順では、先手は金を失う代わりに飛車を得ます。香を下段に置くことで、飛車による金の取り込みに備えられます。
香が前へ出すぎると、その後ろにある駒は守れません。味方の駒を後方から支え、その駒が動いた後には縦の利きが通る位置を考えます。途中に相手の合駒が入る場合も確認しましょう。
攻め・桂の使い方
桂の高跳び歩の餌食
先手番。4五へ跳ねても、桂の行き先には金が待っています。
桂は前に跳ねると、元の場所へ引けません。図で▲4五桂と跳ねると△4四歩が桂取りになり、前へ逃げても3三・5三の金に取られます。
桂をそのままにする
▲4五桂 → △4四歩 → ▲1六歩 → △4五歩
先手は桂一枚を失いました。跳ねた後に歩で追われ、戻れないことが問題です。
3三へ跳ねる
▲4五桂 → △4四歩 → ▲3三桂成 → △同金
3三へ逃げても金に取られます。5三への桂成りも5二金に取られる形です。
5三へ跳ねる
▲4五桂 → △4四歩 → ▲5三桂成 → △同金
5三へ跳ねても5二金に取られます。二つの跳び先がふさがり、歩の攻めにも耐えられない桂でした。
桂を跳ねる前に、歩で追われたときの次の行き先を読みましょう。この図では桂を支える攻め駒がなく、歩や金との交換になってしまいます。
受け・桂への対抗
桂先の銀、定跡なり
後手番。桂の二つの跳び先を、7四銀が押さえる。
7三桂の一つ前に7四銀を置くと、桂が跳ねる6五・8五の両方に利きます。図では7八飛が銀を支え、桂のどちらの跳ね方にも銀で取れます。
8五へ跳ねる
△8五桂 → ▲同銀
8五への跳ね出しは銀で取れます。
6五へ跳ねる
△6五桂 → ▲同銀
6五へ跳ねても銀で取れます。銀一枚で桂の二つの進路を抑える形です。
相手の桂を追いかけるより、その跳び先を先回りして押さえる考え方です。銀の頭を歩で攻められないかなど、置いた銀自身の安全も確認します。
駒の活用・銀
銀は千鳥に使え
先手番。斜めに出ておけば、歩で追われても戻れる。
銀を斜めに出すと、斜め後ろへ引いて戻れます。図で5七銀を4六へ進め、△4五歩と追われたら、▲5七銀と元の場所へ戻れます。
追われたら斜めに戻る
▲4六銀 → △4五歩 → ▲5七銀
進出した銀を失わずに戻せました。真上へ出た銀との違いは、この引き場所が残ることです。
5七から5六へまっすぐ出た銀は、5七へまっすぐ引くことができません。前へ出た後の退路を残しておくのが「千鳥」の意味です。
受け・金の配置
金は引く手に好手あり
先手番。5六金は4五銀に狙われています。5七へ引き、6七銀を守ります。矢印は移動先と、引いた金の支えです。
金は斜め後ろへ動けないため、前へ出すぎると味方の駒を支えられないことがあります。図では5六金から見て6七銀は斜め後ろです。▲5七金と引けば、銀を横から守れます。
一つ引いて銀を守る
▲5七金 → △6七飛成 → ▲同金
この応手の順では、先手は銀を失う代わりに飛車を得ます。5六のままでは届かなかった6七へ、金を引く一手で利きを足した例です。
金を引く目的は、守りたいマスに利きを届かせることです。図では5八飛とも互いに支え合う形になります。いつでも引けばよいのではなく、引いた後にどの駒を守れるかを見ましょう。
攻め・成り駒
と金は金で金以上
先手番。と金で守りの金を取り、取り返された後の持ち駒を比べる。
と金は金と同じ動きで相手の守りを攻められます。図では4二金を取り、△同銀と取り返されても、相手に渡るのは元の歩です。
と金で交換する
▲4二と → △同銀
先手の持ち駒は金、後手の持ち駒は歩。相手の金と、元は歩だった駒を交換できました。
金で交換すると
▲4二金 → △同銀
こちらは双方が金を持ち、金同士の交換です。と金の例では相手へ渡す駒を歩に抑えられました。
本物の金で同じ交換をすると、相手も金を持ち駒にします。安い歩を強い駒として使い、取られても金を渡さない点が、と金の価値です。
受け・馬の働き
馬は自陣に引け
先手番。4五馬を6七へ引き、6八金を守ります。2四角の利きがあるため、金を取る龍は玉では取り返せません。
馬は角の長い斜めの利きに、縦横一マスの動きが加わった駒です。図では▲6七馬と自陣へ引くと、6八金を真上から支えられます。同じ場所へ角を引いた場合と比べてみましょう。
馬なら縦にも取り返せる
▲6七馬 → △6八飛成 → ▲同馬 → △同角成 → ▲同玉
この取り合いでは互いの角を交換し、先手は金を失う代わりに飛車を得ます。馬の縦の利きが、龍を取るための一手を作っています。
角のままでは守れない
▲6七角 → △6八飛成 → ▲8九玉 → △2八龍
この比較では後手が金を一枚得て、龍も残ります。角と馬を同じ守備駒として扱うと、縦横一マスの利きの差を見落とします。
馬を玉の近くに置くと、隣の駒を支えながら遠くの斜め筋にも利かせられます。図の6八は2四角に狙われているので、まず馬で取り、さらに角で取られたら玉で取り返す順序が大切です。
攻め・飛車の打ち場所
大駒は離して打て
先手番。持ち飛車を2二に打つ場合と、4二に打つ場合を比較します。矢印は2二飛の王手の線と、3三銀の利きです。
飛車や角は遠くから利くので、相手の金銀にすぐ取られない場所へ打つことを考えます。図では▲2二飛打と離して王手し、△4二金の合駒に▲同飛成と進める一例を、▲4二飛打と近くに打った場合と比べます。
離して打ってから成る
▲2二飛打 → △4二金 → ▲同飛成 → △6一玉
この合駒の順では、先手は金を取り、銀に守られた龍も作れます。最初に離して打つことで、飛車を残したまま次の手を指せます。
近くに打つと金で取られる
▲4二飛打 → △同金 → ▲同銀成 → △同玉
最後まで取り合うこの順では、先手は金を得る代わりに飛車と銀を失います。3三銀の支えがあっても、飛車から先に取られる打ち場所では交換の収支が変わります。
離して打つと、相手の応手を見てから近づき、成る余地も残せます。ただし遠ければ必ずよいわけではなく、合駒や別の逃げ方も確認します。掲載手順は4二金で受ける場合の比較です。
終盤・玉の逃げ方
玉の早逃げ八手の得
先手番。△2九飛成の王手が来る前に、上へ逃げたい。
王手が来る前に玉を動かすと、相手が攻める間にもう一手逃げられます。図では▲1七玉と先に出ておけば、△2九飛成は王手にならず、続けて▲2六玉と上へ逃げられます。
先に玉を逃がす
▲1七玉 → △2九飛成 → ▲2六玉
同じ攻めに対し、玉は2六まで逃げられました。王手を待たなかった一手が、上部への移動を助けます。
王手を待ってしまう
▲1五歩 → △2九飛成 → ▲1七玉
玉はまだ1七で、次は後手の手番です。先に逃げた例のように、すぐ2六まで進む余裕がありません。
別の手を指してから△2九飛成を受けると、王手への対応で▲1七玉と指すことになります。同じ三手でも玉の進み具合が違います。「八手」は大きな得を表す言い方です。
終盤・寄せ方
王手は追う手
先手番。王手を二度続けた先に、後手玉の逃げ道があります。
王手を続けても、玉が安全な方向へ逃げるだけなら寄せになりません。図では金を打って王手し、さらに金を追いかけても、後手玉は3二→4一→5二と金銀の近くへ逃げます。
王手を続けた例
▲2三金打 → △4一玉 → ▲3二金 → △5二玉
二度王手しても詰まず、玉は守りの金へ近づきました。王手の回数を増やすだけでは寄せにならない例です。
この手順は詰みではありません。王手をかけた金が玉から離され、後手は6一金の守りへ近づきます。次の王手だけでなく、逃げた先まで読んでから寄せを考えましょう。