歩の手筋
たたき・垂れ歩・継ぎ歩・連打・中合いなど10の手筋。歩で相手の形を変え、攻めや受けにつなげます。
手筋に関係する駒を示した部分図です。盤と持ち駒にない駒は使いません。手を進めながら、狙いと相手の応手を確かめてください。
攻め・守り駒を動かす
たたきの歩
たたきのふ
先手番。3三の金が、角の利きから飛車を守っています。
金の頭へ▲3四歩と打ち、角筋を遮る金を動かします。△同金なら▲1一角成。歩を一枚使うことで、奥の飛車を取れるようにします。
▲3四歩打 → △3四金 → ▲1一角成
歩1枚で金を動かし、奥の飛車を取れました。金が4四へ逃げた場合は、角で金を取れます。
金が角筋を外れれば飛車取り、△4四金ならその金を取れます。先に金を角で取ると2四銀に取り返されて駒損です。5六歩は、飛車に角を狙われたときの支えです。
攻め・と金を作る
垂れ歩
たれふ
先手番。角の頭へ直接打つか、一つ控えて打つかを比べます。
角へすぐに当てず、▲2四歩と一つ控えて打ちます。角を逃がされても▲2三歩成が残り、飛車に支えられたと金で3二の金を狙えます。
2四に垂らす
▲2四歩打 → △4四角 → ▲2三歩成
角にかわされても、と金が残って金を追えます。控えて打つことで、安全に成れる場所を作りました。
2三へ直接打つ
▲2三歩打 → △4四角 → ▲2二歩成 → △2二銀
直接当てた歩は角にかわされ、成っても取られます。2三にと金を作る本手順との違いです。
直接▲2三歩と打つと△4四角とかわされます。続く▲2二歩成は△同銀で取られますが、2三に作ったと金には銀が届きません。相手がかわした後、どこにと金を作れるかが打ち場所を決めるポイントです。
攻め・歩を誘い出す
継ぎ歩
つぎふ
先手番。2三の歩は金に守られています。持ち歩は3枚です。
歩を2枚続けて取らせ、相手の歩を2三から2五へ釣り上げます。その背後へ▲2四歩と垂らし、銀に支えられたと金を作る手筋です。
▲2四歩打 → △2四歩 → ▲2五歩打 → △2五歩 → ▲2四歩打 → △4二金 → ▲2三歩成
相手の歩を釣り上げ、二歩で△2二歩と受けられない形にしてから、と金を作りました。後手が金でと金を取れば、銀で金を取り返せます。
後手は取った歩を持っていますが、△2二歩とは打てません。2五に自分の歩が残っていて二歩になるためです。
攻め・飛車先を開く
合わせの歩
あわせのふ
先手番。2五の歩は3四の銀に守られています。
相手の歩へ▲2六歩と合わせ、取る場所を変えます。△同歩なら銀に守られた2五から歩が離れ、飛車で安全に取り返せます。
▲2六歩打 → △2六歩 → ▲2六飛
歩を交換しながら飛車を進めました。守られた歩を飛車で直接取る危険を避けています。
最初から▲2五飛と取るのは△同銀。歩を一枚使って相手の歩を2六へ誘えば、3四の銀は届きません。合わせの歩は、駒の交換と同時に自分の駒を働かせる手筋です。
自分の歩を消して打ち場所を作る
突き捨ての歩
つきすてのふ
先手番。4筋に自分の歩があるため、今は4三へ歩を打てません。
▲4五歩と突き捨て、△同歩と取らせてから▲4三歩と打ちます。盤上の歩を消すことで、二歩だった打ち場所を使えるようにする手筋です。
▲4五歩 → △4五歩 → ▲4三歩打
突き捨てる前は二歩だった▲4三歩が打てました。歩を取り返す代わりに、持ち歩を敵陣で使う準備をしたのがポイントです。
持ち歩があっても、最初から▲4三歩は二歩です。突き捨てた後なら合法になり、次の▲4二歩成を狙えます。5三のと金が4三の歩と4二の成り場所を支えているため、△4三金と取られても、と金で金を取り返せます。
受け・金を支える
底歩
そこふ
先手番。横から飛車に狙われた金を支えます。
▲7九歩と金の底へ打ちます。歩が7八の金を支え、金も7九の歩を守るため、横からの飛車に崩されにくくなります。
▲7九歩打 → △7八飛成 → ▲7八歩
金を取ると竜を取られるため、相手は単純に金を取れなくなります。
金と底歩が互いに守り合う形です。手順では、飛車で強引に金を取るとどうなるかを確かめます。
攻め・連携を崩す
焦点の歩
しょうてんのふ
先手番。金と銀の両方が利く3四が、歩を打つ急所です。
金と銀の利きが重なる3四へ歩を打ちます。金で取れば銀の守りが外れ、銀で取れば奥への角筋が開くため、どちらの捕獲にも狙いがあります。
金で取る場合
▲3四歩打 → △3四金 → ▲4三角成
金を動かしたことで、角を失わずに銀を取れました。
銀で取る場合
▲3四歩打 → △3四銀 → ▲2一角成
銀を動かしたことで、奥の飛車を取れました。
△同金には▲4三角成、△同銀には▲2一角成。放置すれば▲3三歩成です。6六歩は、逃げた飛車に角を狙われたときの支えです。
攻め・歩の拠点で金銀を捕まえる
ダンスの歩
だんすのふ
先手番。歩を成り捨て、打ち直して金銀の逃げ道を狭めます。持ち歩は3枚です。
▲4三歩成から歩を打ち直して金を動かし、まず3四に歩の拠点を作ります。その後でもう一度成り捨てると、拠点の歩が逃げ道を塞ぎ、金銀を取れる形になります。
▲4三歩成 → △4三金 → ▲4四歩打 → △3三金 → ▲3四歩打 → △3二金 → ▲4三歩成 → △4三金 → ▲4四歩打 → △4四金 → ▲4四銀
3四の拠点が金の逃げ道を塞ぎました。歩を成り捨て、打ち直す動きで金銀を乱し、この手順では歩3枚と金を交換できました。
3四に残した歩が、金の3三への逃げ道を塞ぐのが要点です。周りの銀・歩も退路を押さえています。最初の成り捨てだけでは、金に逃げられます。
歩を続けて打ち、守りの利きから誘い出す
連打の歩
れんだのふ
先手番。1一の香と、その一つ前の1二を2一の金が守っています。
▲1二歩、▲1三歩と続けて打ち、香を1三まで誘い出します。金の守備範囲から外れたところで、香を取って成れます。
▲1二歩打 → △1二香 → ▲1三歩打 → △1三香 → ▲1三香成
歩二枚で香を守りの金から引き離し、香を取って成れました。一度のたたきでは足りない距離を、連打で動かしました。
最初から▲1一香成では△同金。▲1二歩△同香の後に取っても△同金です。もう一枚の歩で1三まで呼ぶと、2一の金が取り返せなくなります。歩を取らなければ、その歩で相手の香を取る狙いが残ります。
香を呼び込み、銀の進路を塞ぐ
中合いの歩
ちゅうあいのふ
先手番。香の王手を受けています。2八への合駒は銀に取られます。
▲2六歩と、玉から離して合駒します。△同香には▲1八玉。香を2六へ呼ぶと、3七の銀が2六へ進めなくなり、玉を端から上へ逃がせます。
2六へ中合いする
▲2六歩打 → △2六香 → ▲1八玉 → △2七銀打 → ▲1七玉
香を2六へ呼び込み、銀の進路を塞ぎました。直接逃げる順では詰む1七のマスへ、今度は逃げられます。
2八へ合駒する
▲2八歩打 → △2八銀成
△2八銀成で詰みです。成銀は2三の香に守られ、玉の逃げ道もありません。2六へ中合いして香を呼ぶと、この詰みを避けたうえで、のちの△2六銀も防げます。
直接▲1八玉と逃げると△2七銀▲1七玉△2六銀で詰み。先に香を2六へ呼べば、銀はそこへ進めません。直接逃げる順で1九・2九へ戻っても△2八銀成までです。